条件を見直して、これからはどうやったらもっと外資がくるか、どうやったら中国に向いている外資を我々に引き込めるかということを真剣に考えなければいけない事態にすでになってしまっています。
このようにASEANから見ますと、二つの外部要因のマイナスがあります。
一つは件が表面化してきた今日、私はASEANとしてはどうやったらもう一回日本の企業、アメリカの企業、台湾の企業を引き込めるかを真剣に考える時期にきているのではないかという気がします。
もちろんASEANが中国よりも、優れている条件はたくさんあります。
例えば法制度です。
中国で問題が起きたときに、外資にとって中国の裁判所は本当に頼りになるのか、中国の法律は本当に頼りになるのか、全然分かりません。
ところがASEANは、法制度はかなりそろっていますから、何か起きたときに裁判所に持っていけばそれなりの処理は期待できます。
中国でもしも問題が起きたら、何が起きるか想像もつかないところがあります。
しれませんが、いざ、何か起きたときに本当に大丈夫ですか。
ASEANなら絶対大丈夫こういうことをアピールしながら、さらに市場開放を進める、金融自由化を進める。
このような努力をして、絶えず外資を入れなくてはならないのです。
外資でここまで発展してきたのですから、外資を絶えず引き込む努力が必要なのです。
ところが実際には、通貨危機が始まり、株も暴落したとき、どうなったでしょうか。
ASEANの当局者は、外資バッシングに走ったのです。
外資を呼び込む努力をするスタンスではありません。
いや、「我々は全部正しいことをやってきたのに、外国の投資家が変なことやったから、こんな事態になってしまったのだ」などと言ってしまったので、ますます国際金融界、あるいは外資の人たちの信用を失ってしまいました。
例えば、マレーシアのmh首相ですが、今、海外での評判はガタ落ちです。
mhの言っている「自分たちは一生懸命働いているのに、Jsがとんでもないことをやったから、我々はひどい目にあった」というのは、ミクロの発想です。
日本でもどこかの電気メーカーの会長さんが、「為替ディーラーは敵だ」とさかんに言っていますが、これもミクロでしかモノを見ることができない人たちの発想です。
個別の企業は日々大変な努力をして、一円一銭でも競争力を高めようと努めますが、こうしたミクロのレベルで地道に努力をしてきた企業が、為替の動きによってその努力をブイにされたとき、何かの陰謀ではないのかと思う気持ちは分からないでもありません。
mhのようにマクロを担当する一国の首相がこんなことを言っては、大変なことになります。
『ロンドン・エコノミスト』をはじめ欧米の国際金融の外紙は、レーシアは外資でやってきた国なのに、その外資に向かってピストルで撃ち殺してやると言うなんて」と、そっぽを向かれてしまったのです。
私は、ASEANの状況は決して楽観視できないと思います。
もしも私がASEANの政治家だったら、大変な事態になったと大きな危機感を持つでしょう。
やるべきことは、ASEANを世界のお金の流れのうえにちゃんと位置づけることです。
日本、アメリカ、中国という三つの大国の中で、どうしたらASEANがやっていけるようになるのか、真剣に考えて対策を打ち出すべきだと思います。
フィリピンのラモスさんはそういう発想をお持ちのようですけれども、残念なことにその他の国々では政府のトップの方々がそれだけの危機感、緊張感を共有しているとは到底思えません。
ゃないかと思っているように映ります。
ちょっと困ったものです。
これだけ外部環境が変わって、厳しい状況になっているのですから、もっと真剣に事態の深刻さを感じとってもらいたいという気がします。
アジアの通貨危機が騒がれていますが、ASEANの通貨が下がったということについては、私はむしろ健全な調整だったと思います。
もしもあのままASEANの通貨がドルと一緒に上がっていってしまっていたら、本当にASEANの工場や生産設備は競争力がなくなってしまうことになります。
そういう意味ではASEANの通貨が下がったことは、私は健全な調整として評価すべきだと思います。
もちろん、失望感からくる通貨のオーバーシュートはあります。
ここ一○年間ASEAで高いビルを建てたり、すごい飛行場をつくったりもしました。
海外でも、ASEANを見る目には、フィーバーしたものがありました。
私もヨ−ロッパとかアメリカの投資家を回っていますと、この通貨危機になる前は、アジアとひとこと言っただけでいくらでも儲かる、アジアさえ買っておけば大丈夫だという雰囲気を感じていました。
今ちょうど一八○度、逆になったのです。
山高ければ谷深しというような状況で、投資家の心理の振れは、一気に右から左に振れたのです。
あまりにも期待と実態がずれてしまったものですから、引き戻すにはしばらく時間がかかるだろうと思います。
今、ASEANの通貨は、ここ数年間の円の下落率を超えて暴落しておりますが、この円の下落率を超えた分は、宿題もせずにアジアに投資した海外投資家のパニックと、重大な外部環境の悪化があったことを認めようとしないこれらの国々の当局者に対する失望感という、二つの理由によるものと考えられます。
下手に通貨に対して神経質になるのではなくて、むしろ今起きていることは健全な調整であると受け止めたほうがいいでしょう。
マーケットのメッセージを謙虚に受け止めて、これからはどういう政策をとっていかなくてはいけないのか、ASEANの国々の方々には考えていただきたい。
ここで少し話はそれますが、ASEANの問題については、国際金融に身を置く私も悔しい思いをしております。
マレーシアの危機について、なぜ私や私のいるN総研がアメリカの投資家Jsより先にこの事態に気がつかなかったのか、ということです。
「マレーシアの外部環境は大きく悪化し、これまでの経済成長は維持できないから、マレーシアは売りだ」と最初に気づいた人物が、もしもmh首相が言うようにJsだとしたら、彼は本当にすごい投資家だと思います。
では日本とアジアの紳というのは、我々が普通想定しているよりも深いものがあったのではないでしょうか。
もしも日本が正しい経済政策をとって、内外の投資家から「日本売り」と呼ばれるような円安に陥っていなければ、アジアは今のような状況に追い込まれなくてすんだのかもしれないのです。
そういう意味では日本の役割は重大です。
さて、ASEANの競争相手になります中国はどうでしょうか。
中国はまさにASEA政府がどういうスタンスをとってくるかにかかっています。
今の事態の深刻さに気づいてそれに対応していきましょうという動きが出てくれば、ASEANにはいい条件もたくさんそろっているのですから、回復もかなり早くなるのではないでしょうか。
逆に外国人の投資家が悪いのだとか、国際金融界が悪者だというようなスタンスでいきますと、回復はかなり遅れてしまうでしょう。
ここで少し長い目でアジア全体を見ますと、一つの経済成長の法則が見えてくると思います。
この法則を最初に発見したのは日本です。
この法則を説明するには、アジアの特徴を見ておく必要があります。
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